メッセージの返事がきれいすぎる、写真が整いすぎている。そんなとき「この人、本当に人なのかな」と手が止まってしまう方は少なくありません。
この記事では、マッチングアプリでやり取りしている相手がAIかどうかを見分ける方法を、警察庁が公表している確定値をもとに整理しました。文章だけで判断しようとすると迷子になるので、「どこを見れば決められるか」の順番でお伝えしますね。
- AIかどうかを文章で決めようとしてはいけない理由と、先に見る3つの行動
- 警察庁の確定値でわかる、マッチングアプリからLINEへ移ったあとに被害が起きる流れ
- AIが使われる3か所(文章・顔写真・声と動画)と、サイン別に「いまも効くか」の一覧表
- 会話と写真で自分で試せる7つの確かめ方と、判定ツールの現実
- 渡してはいけないもの、ブロックと通報の順番、公的な相談先
マッチングアプリのAIの見分け方は、文章より「行動」で決まります

マッチングアプリの相手がAIかどうかは、文章の自然さではなく、「お金の話を出すか」「アプリの外へ連れ出そうとするか」「顔と声を見せないか」の3つの行動で判断するのがいちばん確実です。
理由は単純で、AIが書いた文章はもう人が書いたものと見分けがつかない水準にあり、しかも普通の利用者もAIの下書き機能を使うようになっているからです。文章を疑い始めると、誠実な相手まで疑うことになってしまいます。
一方で、お金・場所・顔の3つは、業者にとって隠しようがない部分です。目的がお金なら必ずお金の話が出ますし、運営の目が届かない場所へ移りたがり、実在しない人物だから顔と声を出せません。
先に見るのは「お金・場所・顔」の3つ
3つの行動は、それぞれ次の形で現れます。どれか1つでも当てはまったら、文章がどれだけ自然でも一歩引いて構いません。
- お金:投資や副収入の話、送金や立て替えのお願い、「二人の将来のため」といった言葉つきの資産の話
- 場所:知り合って間もないうちにLINEなどアプリの外の連絡先を求める、別サイトのURLやQRコードを送ってくる
- 顔:ビデオ通話や対面を、理由を変えながら先延ばしにし続ける
この3つは後半の一覧表で「いまも強いサイン」として扱います。逆に、返信が早い・言葉づかいが硬いといった文章のサインは、条件つきでしか使えなくなりました。
サクラと業者はどう違うのか、この記事で「AI」と呼ぶ相手
言葉を整理しておきますね。「サクラ」は運営側が用意した偽の利用者を指す言葉で、「業者」は運営と関係のない第三者が勧誘や詐欺のために会員を装っている相手のことです。
この記事で「AI」と呼んでいるのは、後者の業者が返信の文章や顔写真の生成にAIを使っているケースです。運営側のサクラの有無はアプリごとに事情が違い、外からは断定できないので、ここでは扱いません。
業者は1人で何十ものアカウントを動かしているため、返信を手で書いていたら追いつきません。そこでAIに下書きさせ、写真も生成して、たくさんの相手に同時に近づく。これが「相手がAIかもしれない」と感じる場面の正体です。
このブログが想定している読者(18歳以上)
マッチングアプリは18歳以上(高校生を除く)の方だけが利用できます。このブログもその前提で書いていますので、該当しない方はここで読むのを止めてくださいね。
また、この記事は「相手を問い詰めるための材料」ではなく、「自分が静かに距離を取るための判断材料」としてお使いください。人を疑う作業は疲れますから、必要なところだけ拾っていただければ十分です。
警察庁の数字で見る、マッチングアプリでAIが使われる場面

警察庁の確定値では、2025年のSNS型ロマンス詐欺5,645件のうち、被害者が相手と最初に接触した場所はマッチングアプリが1,846件(32.7%)で最も多く、被害が起きたときの連絡手段はLINEが5,294件(93.8%)でした。
2026年9月2日時点で、警察庁が公表している最新の確定値は「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」(2026年5月22日発表)です。以下の数字はすべてこの資料の14〜17ページから引いています。
「AIを使った業者」の統計そのものはありません。ただ、業者の最終目的はお金ですから、ロマンス詐欺の統計を見れば「どこで出会い、どこへ連れ出され、何を取られるか」の流れがそのまま見えてきます。
最初の接点はマッチングアプリが32.7%で最多
SNS型ロマンス詐欺の認知件数は2025年に5,645件で、前年より1,821件増えました。被害額は546.4億円です。
相手と最初に接触したツールの内訳は、マッチングアプリ1,846件(32.7%)、Instagram1,288件(22.8%)、Facebook1,049件(18.6%)の順で、この3つで全体の約7割を占めています。接触の手段はダイレクトメッセージが5,238件(92.8%)と大半で、そのうちマッチングアプリ経由が1,713件でした。
つまり、業者が最初に声をかけてくる場所として、マッチングアプリはいちばん使われている入り口です。「マッチングアプリだから安全」でも「だから危険」でもなく、入り口として選ばれやすい場所だと知っておくことが出発点になります。
接触の9割以上がダイレクトメッセージという点も見逃せません。広告や投稿から入るのではなく、「あなた宛て」に届く1通から始まるので、こちらが受け身のまま関係が進みやすいのです。相手から熱心に来る流れそのものを、少し冷静に眺めるくらいでちょうどよいと思います。
被害はLINEへ移ってから起きている
ここが、この記事でいちばん覚えていただきたい数字です。被害が起きたときの連絡ツールは、LINEが5,294件で全体の93.8%を占めていました。
入り口はマッチングアプリでも、お金を取られる場面はほぼ全部がアプリの外です。裏を返せば、アプリの中でやり取りを続けている限り、被害の入り口には立っていないということになります。
だからこそ、早い段階で外の連絡先を求めてくる相手は、文章がどれだけ丁寧でも警戒に値します。被害金の受け取り方も、暗号資産を送らせる形が2,177件(38.6%)と前年の約2.8倍に増えており、「投資用の口座を作ろう」という誘いはこの流れの入り口です。

「LINEへ移ってから」が9割以上なので、外へ出る前が守りどころだと覚えておいてくださいね。
男女とも50代がいちばん多い
被害者の年代は、警察庁の資料で「男女ともに、幅広い年代に被害が及びつつも、40代から60代が多数を占めている状況」と書かれています。実数では男性が50代1,100件・60代903件・40代729件、女性が50代620件・40代551件・60代362件で、どちらも50代が最多でした。
男性の被害が全体の約6割(3,633件・328.7億円)を占めるのも特徴です。若い人がだまされる犯罪ではなく、落ち着いた年代が、時間をかけて信頼を築いたあとに狙われる犯罪だと言えます。
この年代の方は、文章の違和感に気づく力はむしろ高いはずです。それでも被害が多いのは、文章ではなく「関係ができたあとのお金の話」で崩されるからで、見分け方の重心を行動に置くべき理由もここにあります。
マッチングアプリでAIが使われる3か所:文章・顔写真・声と動画

マッチングアプリで業者がAIを使う場所は、返信の文章、プロフィールの顔写真、そして声とビデオ通話の3か所です。どこに使われているかで、効く見分け方が変わります。
「AI」とひとことで言っても、文章を作るAIと顔を作るAIは別物で、得意なことも苦手なことも違います。3か所に分けて考えると、後半の確かめ方がどれに効くのかが整理しやすくなります。
文章:返信をAIに書かせる
いちばん多いのがこの使い方です。こちらのメッセージをAIに読ませ、感じのよい返事を書かせて送ってくる。誤字が少なく、共感の言葉が入り、質問にもそれらしく答えてきます。
ただし、文章を作るAIには2つの弱点が残っています。ひとつは「今日この土地で起きたこと」のような、その場にいないと答えられない話に弱いこと。もうひとつは、1通に含まれた複数の質問のうち、後ろの質問を取りこぼしやすいことです。
この弱点を突くのが、後半の「確かめ方1〜3」です。文章そのものの上手い下手ではなく、会話のキャッチボールが成り立つかを見ます。
顔写真:存在しない人物を作る
他人の写真を拾って使う「なりすまし」に加えて、いまはAIで実在しない顔を作る手口があります。拾い物の写真は画像検索で元が見つかることがありますが、生成された顔は元の写真が存在しないため、検索では出てきません。
そのかわり、生成された顔には別の弱点があります。同じ人物を別の角度・別の日・別の服装で何枚も作るのが難しく、耳や歯、指、背景の文字などの細部が崩れやすいのです。
ですから写真は、「検索で出るか」と「別角度の写真を出せるか」の両方で確かめます。片方だけでは決められません。
声と動画:ビデオ通話まで偽装される段階に
音声を合成して本人らしく話す、写真の人物を動かしてビデオ通話を装う。こうした手口も広がりつつあり、「ビデオ通話に応じたから本物」とは言い切れなくなってきました。
とはいえ、短い通話の中で「今、右手を上げてみてください」「窓の外を映してもらえますか」といった、その場で決めた動きをお願いすると、作られた映像は追いつきにくいのが現状です。応じるかどうかと、応じたときの映像の自然さを一緒に見ます。
そして、どの段階でも共通する弱点があります。どれだけ精巧に作っても、業者の目的はお金なので、最後には必ずお金の話が出るということです。
3か所の使われ方で分かれる、手口の4つの型
文章・顔写真・声と動画の組み合わせ方で、業者の手口はだいたい4つの型に分かれます。途中で「あ、この型だ」と気づけるように、流れだけ押さえておきましょう。
| 型 | 使われるAI | 会話の流れ | 気づくきっかけ |
|---|---|---|---|
| 投資・副収入へ誘う型 | 文章(返信の量産) | 数週間かけて親しくなる→「一緒に資産を増やそう」→少額で利益が出る→高額へ | 恋愛の話とお金の話が同じ相手から出る |
| 別サイトへ誘導する型 | 文章 | 「このアプリは使いにくい」→URLやQRコード→誘導先で登録や支払い | 知らないサイトのリンクが送られてくる |
| 海外設定で送金を求める型 | 文章+翻訳 | 海外在住・出張中の設定→会えない理由が続く→「荷物が税関で」「入院で」と送金依頼 | 「会いたいのに事情で会えない」が続く |
| 顔と声を作るなりすまし型 | 顔写真+声と動画 | 魅力的な写真→通話や対面を避ける→上の3つのどれかへ合流 | 別角度の写真や短い通話を出せない |
4つの型は重なることが多く、「写真は作り物で、最後は投資へ誘う」のように、なりすまし型が入り口になって投資型へ合流するのが典型です。だから写真だけ、文章だけで安心も油断もしないほうがよいのです。
海外設定の型では、翻訳を通した文章特有の、助詞の抜けや言い回しの硬さが残ることがあります。ただしそれも、日本語を勉強中の本物の外国人の方と区別できるものではないので、決め手にはせず「会えない理由が続くか」で見てください。
サイン別・マッチングアプリのAIを見分ける強さの一覧表

マッチングアプリでAIを見分けるサインは、「いまも強い」「条件つき」「もう頼れない」の3段階に分けて使うと、誠実な相手を疑いすぎずに済みます。
下の表は、よく挙げられるサインを、警察庁の数字や各社の公式発表を根拠に「いまどこまで効くか」で並べ直したものです。1つで決めるのではなく、強いサインを軸に、条件つきのサインで補強する使い方をおすすめします。
| サイン | いま効くか | そう言える根拠 | 確かめ方 |
|---|---|---|---|
| 早い段階でLINEなど外の連絡先を求める | ◎ 強い | 被害時の連絡ツールはLINEが93.8%(警察庁・2025年確定値) | アプリ内で続けたいと伝え、反応を見る |
| 投資・副収入・送金の話が出る | ◎ 強い | 暗号資産を送らせる形が2,177件(38.6%)で前年の約2.8倍 | 出た時点でやり取りを止めてよい |
| ビデオ通話や対面を避け続ける | ◎ 強い | 他人の写真や生成写真では顔と声を出せない | 1〜2分の通話をお願いする(確かめ方4) |
| その場の出来事や土地の話に答えられない | ○ 条件つき | 文章AIは「今・ここ」の情報を持たない | 確かめ方1・3 |
| 2つ聞いたのに1つしか返ってこない | ○ 条件つき | 複数の質問の取りこぼしは文章AIの弱点 | 確かめ方2 |
| 写真の細部(耳・歯・指・背景の文字)が崩れている | ○ 条件つき | 生成画像で崩れやすい箇所。加工写真でも起きる | 確かめ方6・7 |
| 返信が早い・いつも同じ時間帯 | △ 頼れない | 通知を見てすぐ返す人は普通にいる | 単独では使わない |
| 文章が整いすぎている・AIっぽい | △ 頼れない | 公式のAI下書き機能を使う利用者が増えた(次の見出し) | 単独では使わない |
| 画像検索で同じ写真が出てこない | △ 頼れない | 生成された顔は元画像が存在しない | 「出ない=本物」とはしない |
いまも強いサイン3つ
外への誘導、お金の話、顔を見せないこと。この3つは業者の目的そのものに直結しているので、技術が進んでも消えません。
特にお金の話は、相手が人であってもAIであっても、出た時点で線を引いて構いません。知り合って間もない相手にお金の相談をする人は、恋愛の相手ではなく、お金の相手を探しています。
条件つきで使えるサイン3つ
会話の噛み合わなさ、質問の取りこぼし、写真の細部の崩れ。これらは「自分から仕掛けて反応を見る」ときに効きます。待っているだけでは判断材料になりません。
ただし、忙しくて雑に返しただけの人、写真アプリで肌を加工しただけの人にも同じことが起きます。1回で決めず、2〜3回試して同じ反応が続くかで見てください。
もう頼りにできないサイン3つ
返信の速さ、文章の整い方、画像検索の結果。少し前までは決め手だったこの3つが、いまは単独では使えなくなりました。
理由は、普通の利用者もAIの下書きを使い、写真を加工し、通知が来たらすぐ返すからです。この3つで「怪しい」と決めると、誠実な相手を切り捨てることになります。補助として見るだけに留めてくださいね。
当てはまる数で見る目安と、やらなくていいこと
表のサインを数えるときは、強いサインを1つで2点、条件つきのサインを1点、頼れないサインは0点と数えてみてください。合計が0〜1点なら普通のやり取りの範囲、2〜3点なら確かめ方を試す段階、4点以上なら距離を置く段階です。
ただし、お金の話が出た場合だけは点数に関係なく、その時点で止めて構いません。ここだけは足し算ではなく、単独で決めてよいサインです。
反対に、不安になるとやりたくなるけれど、やらなくていいこともあります。次の3つは、やっても状況がよくなりません。
- 1つのサインだけで「業者だ」と決めつける(本物の相手を疑いすぎると、出会いそのものを逃します)
- 相手の写真や名前をSNSに載せて「この人は業者?」と聞く(本人だった場合に取り返しがつきません)
- 「あなたAIですよね」と本人に問い詰める(業者は設定を変えるだけで、本物なら関係が終わります)
会話でマッチングアプリのAIを見分ける4つの確かめ方

相手がAIかどうかは、こちらから小さく仕掛けて反応を見るのがいちばん早い方法です。会話で4つ、写真で3つ、どれも相手を責めずに試せます。
全部やる必要はありません。やりやすいものを2つほど選び、少し日を空けてもう一度試すくらいで、判断に必要な材料はそろいます。
試す前に決めておく2つのこと
確かめ方を試す前に、2つだけ決めておくと迷いません。ひとつは「何回同じ反応が出たら距離を置くか」で、私は2回を目安にしています。1回の取りこぼしは人にもあるからです。
もうひとつは「試す間は、こちらから個人情報を出さない」ことです。確かめている最中に勤め先や本名を書いてしまうと、相手が業者だった場合に取り返しがつきません。質問はこちらから投げ、答えは相手に出してもらう、という向きを守ってください。
この2つを決めておけば、試す作業は探偵ごっこではなく、普通の会話の延長で済みます。相手が本物の人だったときに、失礼にならない範囲で収まるのも利点です。
確かめ方1:その日の出来事を聞く
「今日そちらは雨でしたか?」「昨日のニュース、見ました?」のように、その日その場所にいないと答えにくいことを聞いてみます。文章を作るAIは、こうした「今」の情報を持っていません。
返ってきた答えが、天気や出来事に触れずに「お疲れさまでした」「そちらはいかがですか」と話をずらしてくるようなら、材料が1つ増えたと考えます。逆に具体的に返ってきたら、その点では人らしい反応です。
確かめ方2:質問を2つ、1通にまとめて送る
「お休みの日は何をされていますか? あと、最近読んだ本はありますか?」のように、1通の中に質問を2つ入れます。人は自然に両方に触れますが、AIの下書きは前半だけに答えて後半を落とすことがあります。
1回落としただけなら見落としの可能性もあるので、数日おいてもう一度試します。2回とも後ろの質問が消えるなら、返信を人が読んでいない可能性が高まります。
確かめ方3:プロフィールに書いてある土地の話を振る
相手の居住地や出身地がプロフィールにあるなら、その土地の駅名や名物、最近できたお店の話を振ってみます。住んでいる人なら何かしら返せますが、設定だけの相手は一般論でかわそうとします。
ここで「実は今は海外にいて」「仕事で各地を転々としていて」と設定が動いたら、それ自体が材料です。プロフィールと会話の矛盾は、業者が複数のアカウントを回しているときに起きやすいほころびです。
確かめ方4:1〜2分のビデオ通話をお願いする
会う前に一度、短いビデオ通話をお願いします。長話は不要で、顔と声が写真と結びつくかを見るだけで十分です。
「恥ずかしい」「電波が悪い」と理由を変えながら何度も先延ばしにされたら、それが答えだと受け取って構いません。応じてもらえた場合は、その場で「窓の外を映してもらえますか」のような、事前に用意できない動きを1つお願いすると安心です。
お願いするときの言い方は、「会う前に一度、声だけでも聞いておきたくて」くらいの柔らかさで十分です。相手を試している雰囲気を出すと、本物の人にも警戒されてしまいますから、こちらの安心のためというお願いの形にしてください。
通話ができたあとも、映像の中の顔が写真と同じ人に見えるか、口の動きと声がずれていないかを見ておきます。少しでも違和感があれば、その場では触れず、あとで写真の確かめ方6・7と合わせて判断すれば大丈夫です。

通話のお願いは失礼ではありませんよ。断られ続けるかどうかも、大事な判断材料になります。
写真でマッチングアプリのAIを見分ける3つの確かめ方

写真がAI生成か拾い物かは、「画像検索で出るか」「細部が崩れていないか」「別の角度の写真を出せるか」の3つを重ねて確かめます。どれか1つだけで決めないのがコツです。
写真は、会話より先に目に入るぶん、印象で決めてしまいがちです。3つの確かめ方を順番に試すと、きれいすぎる写真への不安が、判断できる材料に変わります。
確かめ方5:写真を画像検索にかける
プロフィール写真を保存し、Googleの画像検索(スマホならGoogleアプリのカメラのマーク)にかけます。同じ写真が通販サイトや別のSNSで使われていれば、拾い物の写真だと判断できます。
ただし前の見出しでお伝えしたとおり、AIで作られた顔は元の画像が無いので検索に出ません。「出てこなかったから本物」とはせず、出てきたときだけ材料にする、という使い方にしてください。
確かめ方6:AI生成写真で崩れやすい5か所を見る
写真を拡大して、次の5か所を順に見ます。どれも生成の過程で不自然になりやすい部分です。
- 耳とアクセサリー:左右で形やピアスが違う、耳の輪郭が溶けている
- 歯:本数が多い、並びが不揃い、境目がぼやけている
- 指:本数や関節の向きがおかしい、手が写らない構図ばかり
- 背景の文字:看板やラベルの文字が読めない記号になっている
- 肌の質感:毛穴や影がなく、全体がつるりと光っている
ここで注意したいのは、美肌加工をしただけの写真でも肌の質感や背景は変わることです。5か所のうち2つ以上、特に指や歯の崩れがあるときに材料として数えてください。
確かめ方7:別の角度の写真をお願いする
「他のお写真も見てみたいです」と、横顔や全身、別の日の写真をお願いしてみます。生成された顔は、同じ人物を別の角度や状況でそろえるのが苦手です。
送られてきた写真同士で、ほくろの位置や耳の形、歯並びが一致しているかを見ます。角度が違うだけで別人に見えるなら、写真は本人のものではないと考えて距離を置いてよいでしょう。
AI判定ツールでマッチングアプリのAIは見分けられる?公式のAI機能との違い

文章がAI製かを判定するツールは、短い日本語のメッセージには向いていません。しかもアプリ公式のAI下書き機能を使う利用者が増えたため、「AIが書いた文章=業者」という前提そのものが成り立たなくなっています。
「相手の文章をツールにかければ一発でわかるのでは」と考える方は多いのですが、ここには2つの現実があります。ツール側の限界と、AIを使う人が業者だけではなくなったという変化です。
文章の判定ツールは、作った会社が引き上げました
ChatGPTを開発したOpenAIは、AIが書いた文章かを判定する自社ツール「AI Text Classifier」を、精度の低さを理由に2023年7月20日で提供終了しています。公式の案内ページには、AIが書いた文章を正しく見抜けたのは26%にとどまったこと、短い文章と英語以外の言語では信頼性が下がることが書かれています。
マッチングアプリのメッセージは、短くて、日本語です。判定ツールがいちばん苦手な条件が2つともそろっているので、結果が「人が書いた」と出ても「AIが書いた」と出ても、それを根拠に決めるのは危ういと考えています。
ChatGPTやGeminiに「このやり取り、不自然なところはある?」と相談する使い方は別で、冷静な第三者の目としては役に立ちます。ただし相手の名前や写真は伏せて渡し、最後に決めるのは自分だと決めておいてください。
アプリ公式のAI機能を使っているだけの人もいる
2026年9月2日に各社の公式ページで確認したところ、マッチングアプリ「タップル」は、初回メッセージの案を生成AIが提案する「AIメッセージアシスト」を2025年9月25日に国内初として提供し、さらに自己紹介文を3種類提案する「AIプロフィール生成」を2026年2月25日に全利用者へ公開しています。
つまり、整った初回メッセージや自己紹介文は、運営が公式に用意した機能で作られている可能性があります。「文章がAIっぽい」だけで業者と決めるのは、この機能を使った普通の利用者を疑うことと同じです。
公式機能で作られた文章は、あくまで下書きで、送る前に本人が編集できる仕組みになっています。2通目以降で会話がきちんと続くかどうかのほうが、はるかに多くを教えてくれます。
AIかどうかは決めず、お金と場所で線を引く
ここまでの数字を並べたうえで、私が思っていることをお伝えしますね。相手がAIかどうかを当てようとするのは、もうやめてよいと思っています。
理由は3つです。被害が起きる場所の93.8%がLINEへ移ったあとであること、公式のAI機能で誠実な人もAIの文章を送ってくること、そして判定ツールが作った会社自身に引き上げられていること。文章で当てるゲームは、勝てない設計になっています。
そのかわり、私なら読者の状況で線の引き方を変えます。まだアプリ内でやり取りしている段階なら、確かめ方1〜4を2つほど試して、外へ誘われるまでは様子を見て大丈夫です。すでにLINEへ移っていて、少しでもお金や投資の話が出た段階なら、相手が人かAIかにかかわらず、その日のうちにやり取りを止めることをおすすめします。
そして、ビデオ通話を何度も断られている段階の方は、写真の確かめ方6・7を試すより、いったん会うのをやめる判断のほうが早いと思っています。顔を見せない相手に時間をかけ続けるのは、こちらの消耗が大きすぎるからです。
この線の引き方には、向かない場面もあります。すでに強く好意を持っていて「疑いたくない」気持ちが勝っている段階では、お金の話が出ても「この人は違う」と例外にしたくなるものです。
そういうときのために、やり取りを始める前に「お金の話が出たら止める」と自分で決めて、できればメモに書いておくことをおすすめします。相手を見てから決めるのではなく、先に決めておいた線に従うほうが、気持ちが動いているときほど自分を守ってくれます。
AIかもと思ったあとの動き方と相談先

相手がAIかもしれないと感じたら、やることは「渡さない」「静かに切る」「困ったら公的な窓口へ」の3つだけです。相手を問い詰める必要はありません。
問い詰めても、業者は別の設定でやり直すだけですし、本物の人だった場合は関係が壊れます。どちらに転んでも得がないので、確かめたあとは自分の側だけを守る動きに切り替えます。
渡さないもの3つ:お金・身分証・顔がわかる写真
お金は、理由が何であっても知り合って間もない相手に送らないこと。身分証の画像や勤め先、自宅の場所がわかる情報も同じです。
顔がはっきり写った写真も、相手を信頼できると確かめる前には渡さないほうが安全です。渡した情報は取り戻せませんし、写真は別のなりすましに使われることがあります。
投資の誘いは、国民生活センターが公表している「ロマンス投資詐欺が増加しています!」で、「マッチング成立→アプリ外へ誘導→投資サイトを案内→少額で利益が出る→高額を送金→出金できない」という8段階の流れが示されています。少額で利益が出た時点が、いちばん抜けにくい入り口です。
ブロックと通報の順番
順番は「画面を残す→運営に通報→ブロック」です。先にブロックすると、通報に必要なやり取りが見られなくなるアプリがあるためです。
- プロフィールとメッセージの画面を撮っておく(あとで相談するときの材料になります)
- アプリ内の通報機能から運営へ知らせる(相手に通知されるものではありません)
- そのあとでブロックし、以降は返信しない
通報は、次に同じ相手に近づかれる人を守ることにもつながります。「大げさかな」と迷う必要はありません。
もし相手に本名や勤め先を知られていて不安なら、アプリの表示設定を見直しておくと落ち着きます。設定の考え方はハッピーメールで隠せるもの・隠せないものを整理した記事にまとめています。
個人情報や写真を渡してしまったあとにできること
すでにLINEを交換していたり、顔写真を送っていたりしても、できることは残っています。まず、LINEなら相手をブロックし、プロフィールの名前と写真を変えておきます。
「写真を公開する」「家族に知らせる」といった脅しの言葉が出た場合は、応じずにそのまま相談窓口へ持ち込んでください。要求に一度応じると、次の要求が来るだけで終わりません。
身分証の画像を渡してしまったときは、発行元(運転免許証なら警察、マイナンバーカードなら市区町村)に相談し、悪用の可能性がある旨を伝えておくと安心材料になります。渡したものを取り戻すことはできなくても、その先の被害を小さくすることはできます。
相談先:188と#9110、海外の相手ならCCJ
お金を送ってしまった、または送りそうになって不安なときは、ひとりで抱えずに公的な窓口へ相談してください。恥ずかしいことではなく、相談件数が年々増えているごく普通の被害です。
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」:お住まいの地域の消費生活センターにつながる全国共通の3桁番号(消費者庁)
- 警察相談専用電話「#9110」:緊急ではない相談の窓口。事件性があるときは110番(警察庁)
- 国民生活センター越境消費者センター(CCJ):相手が海外の事業者のときにウェブフォームで相談できます
相談するときは、先ほど残しておいた画面と、送金した日付・金額・方法をメモにしておくと話が早く進みます。

番号を控えておくだけでも、いざというとき落ち着けますよ。
マッチングアプリのAIの見分け方に関するQ&A

ここまでの内容で残りやすい疑問を、短くまとめておきます。
メッセージの文章だけで、相手がAIかどうかを確実に見分けられますか?
文章だけで確実に見分けることはできません。公式のAI下書き機能を使う利用者が増え、判定ツールも短い日本語には向かないためです。
文章は補助にとどめ、外への誘導・お金の話・顔を見せないことの3つの行動で判断してください。
相手の文章をAI判定ツールにかけて「人間が書いた」と出たら安心していいですか?
安心の根拠にはなりません。OpenAI自身が精度の低さを理由に判定ツールを引き上げており、短文と英語以外の言語では特に信頼性が下がると案内しています。
結果がどちらに出ても、行動のサインのほうを優先して見てください。
相手がアプリ公式のAI機能を使っているだけの可能性はありますか?
あります。タップルは初回メッセージの案を提案する機能を2025年9月から、自己紹介文を提案する機能を2026年2月から提供しています。
初回の文章が整っているだけなら、この機能を使った普通の利用者かもしれません。2通目以降の会話が続くかで見てください。
画像検索で同じ写真が出てこなければ、本人の写真と考えていいですか?
いいえ。AIで作られた顔は元の画像が存在しないため、画像検索には出てきません。出てこないことは「本物」の証拠にはなりません。
別の角度の写真をお願いして、ほくろや耳の形が一致するかで確かめるほうが確実です。
相手がAIだと思ったとき、本人に「AIですよね」と聞いてもいいですか?
おすすめしません。業者なら設定を変えて続けるだけですし、本物の人なら関係が終わります。
聞かずに、画面を残して通報し、ブロックして静かに終えるのが自分を守る動きです。
すでにLINEへ移ったあとで「AIかも」と気づいた場合はどうすればいいですか?
お金や身分証を渡していなければ、今からブロックすれば大きな心配はいりません。LINEの名前と写真を変え、アプリ側でも通報とブロックをしておきます。
すでに送金してしまった場合は、送った日付・金額・方法をメモして、188か#9110へ相談してください。
海外にいると言う相手は、全員が業者だと考えたほうがいいですか?
そこまで決めつける必要はありません。本当に海外で働いている方もいます。
見るのは設定そのものではなく、「会えない理由が続くか」「送金や投資の話が出るか」です。この2つが出なければ、海外在住という点だけで距離を置くことはありません。
50代からマッチングアプリを始めるのは、AIの業者がいるぶん危険ですか?
警察庁の確定値では、被害者は男女とも50代が最多です。ただ、それは50代がだまされやすいからではなく、時間をかけて信頼を築いたあとにお金の話で崩される犯罪だからです。
「お金・場所・顔」の3つで線を引いておけば、年代に関係なく落ち着いて使えます。会う前に不安が残るなら、会う約束を角を立てずに断る例文も用意していますので、無理に進めなくて大丈夫ですよ。
まとめ|マッチングアプリのAIは「決めつけず、渡さない」で見分ける
最後に、この記事の要点をまとめます。
- 相手がAIかどうかは、文章ではなく「お金・場所・顔」の3つの行動で判断する
- 警察庁の確定値では、最初の接点はマッチングアプリが32.7%で最多、被害時の連絡はLINEが93.8%。アプリの外へ出る前が守りどころ
- AIが使われるのは文章・顔写真・声と動画の3か所。どこに使われているかで効く確かめ方が変わる
- 返信の速さ・文章の整い方・画像検索の結果は、もう単独では頼れない
- 会話は「今日の出来事」「質問2つ」「土地の話」「短いビデオ通話」、写真は「画像検索」「崩れやすい5か所」「別角度」で確かめる
- 判定ツールは短い日本語に向かず、公式のAI下書き機能を使う利用者もいる。AIかどうかを当てるゲームはしない
- 怪しいと感じたら、渡さない・画面を残して通報・ブロック。困ったら188・#9110・CCJへ
人を疑い続けるのは、思っている以上に疲れます。AIかどうかを当てようとするのではなく、「お金の話が出たら止める」「外へ出る前に確かめる」の2つだけ決めておけば、あとは気楽にやり取りを楽しんで大丈夫です。
アプリの中で安心して続けるための設定や、やめ方も別の記事で整理しています。

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